2012年4月26日木曜日

日本地下水学会 JAGH


「地下水」という用語の定義を教えてください

    「地下水」という用語の定義について、地下水学会としてまとめたものは残念ながらありません。しかし地下水学会の会員が中心となり「地下水」の用語について定義している身近な出版物がありますのでこれらを紹介します。
    @山本荘毅責任編集(1986)「地下水用語辞典」古今書院発行
    A佐藤邦明編著(2005)「地下水環境・資源マネージメント」埼玉大学
     出版会発行の第1章「地下水とは」ほか

    (以下@、Aの図書の一部を引用)
    @
    地下水は動的な水であり、地下水体の水とそれに接している水を厳密に区別することは困難である。例えば、地下水とその上にある毛管水帯の水を厳密に区別することは困難であり、区別することに本質的な意味は無い。この言葉はかつてsubsurface water とともに地下水の水一般を指したが、現在は
    underground water とともに飽和体の水を指すことに限定されている。
    A
    従来、地下水とは地下水面より下の帯水層に存在する飽和状態の水のことを指す用語であった。しかし、現在では地下水面より上の不飽和状態にある水も含めて地下水とする考え方が取られるようになっている。今日、地下水とは地下に賦存する水の総称である。


地球上に氷の形で存在する真水の代表例として南極やグリーンランドの氷床が挙げられますが、北極等の氷山が挙げられていないのはなぜでしょうか?

    北極は大陸ではなく、海の上に氷が浮かんでいるだけでその面積は人工衛星の観測では500〜600万平方kmであり日本の国土面積の10数倍程度です。また、北極の地域の氷山はアラスカ、グリーンランドなどから氷河の一部が海面へ流れ出たものです。氷の比重と海水の比重の関係から、海面上に顔を出した氷の約9倍の氷が海面下に隠されているのですが、以下に示すように、南極大陸やグリーンランドの氷の量に比べるとほとんど無視できる極めてわずかな量です。
    IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)の2001年の報告書によると、南極大陸には氷床として2,571万立方kmの氷が蓄えられており、その厚さは1,000mをはるかに超えます。一方、グリーンランドにある氷の体積は285万立方kmと推定されており、氷の厚さは最高3,000mを超えます。南極の氷がすべて溶けると61m、グリーンランドの氷がすべて溶けると7.2m海面が上昇すると推定されているほど莫大な氷(淡水)の量です。また、南極やグリーンランドほどではありませんが、ヒマラヤ、南アメリカのパタゴニア地方、ヨーロッパアルプス、カナダ、アラスカなどにも氷河として莫大な量の氷(淡水)が貯蔵されており、一部は大河となって貴重な淡水資源として利用されています。


湧水は地下水ですか?

    湧水も地下水に含まれます。地下水が自然に地上に湧き出してくる現象が湧出であり、その水を湧水と呼びます。湧水の定義は 別のFAQ に説明がありますのでご参照ください。

「湧水」の定義や概念を教えてください。井戸内の水も湧水と呼んでよいのでしょうか?

    湧水に決まった定義があるわけではありませんが、通常、地質条件が整い、地下水が自然に地上に湧き出してくる現象が湧出であり、その水を湧水と呼びます。武蔵野台地の崖線沿いの湧水、富山県の黒部川扇状地の湧水、富士山山麓の湧水など、各地で様々な形の湧水があります。井戸(掘り抜き井戸、突き抜き井戸)を掘削して、自然に湧き出してくる井戸は自噴井であり、湧水とは区別されるべきですが、各地でこの自噴井を湧水と呼び「名水」と称している場合があります。また、自然に湧出する水の量を増やす目的で、湧出場所の近くに井戸を掘削して湧出量を増加させる場合もありますが、これも湧水と呼ぶことが出来るか疑問です。また、地下水の自然の流れが陸地から海底、あるいは湖底まで連続している場合、海底や湖� ��に湧水がみられます。富山湾の海底湧水や琵琶湖の湖底湧水が有名です。動力(ポンプ)によりくみ上げた地下水はもちろん湧水とは呼びません。


地下水は、どうして存在しているのですか? 地中から沸いてくるのですか?

    地下水の起源は、すべて地上に降った雨や雪であり、土壌を通して地下に浸透して、砂や礫(小石)の間に溜まった水です。普通は井戸を掘って井戸水として私たちの様々な用途である、工業用水、農業用水、生活用水として利用します。地下水の溜まっている場所を帯水層と呼び、その深さは地域、場所により様々ですが、通常は数mから200〜300m程度です。地形的な条件により、湧水として地下水が地上に出てくる場所もあります。また、地下1000m以上の深い井戸を掘って各地で利用されている温泉水も、地下水の一種ですが、すべて地上から長い年月をかけて雨や雪が浸透して溜まったものです。川の流れが雨が降らなくてもすぐに途絶えないのも、地下水が河川水のもとになっているためです。地下水は貴重な水資源です。世界では� ��水道水源を地下水に依存している人口が1千万人を超えるような大都会もあります。日本では水道水源や個人の井戸として約4人に1人が毎日、水道水、飲料水として地下水を利用しています。

地下水が存在する帯水層とはどんなものですか?

    地中にしみこんだ雨や雪は、土壌層を浸透して、その下にある砂れき層に到達して地下水は誕生します。砂れき層は文字通り、砂やれき(小石)で構成されており、その間隙(すきま)が地下水の"貯留槽"になります。専門的には「帯水層」と呼ばれ、一般に砂れき層の体積の約3分の1を占めます。砂れき層の厚さは地域により様々で、数メートルから平野部では100メートル以上になる地域もあります。また、河川は川幅が広くても1キロメートル程度ですが、帯水層は平野では地域によっては何10キロメートルの幅で存在します。

地下水位の深度と帯水層の深度はどんな関係にあるのですか?

    井戸の地下水位と帯水層の深度とは直接関係がありません。例えば、井戸の水位が地表面から深度10mの位置にあるからといって、帯水層がそれと同じ深度にあるということではありません。
    地下水の種類には大きく分けて2種類、「被圧地下水」と「不圧地下水」があります。被圧地下水は上下が難透水層でサンドイッチされた状態で帯水している地下水であり、これを取水する井戸は深井戸と呼ばれます。これらの地層中の地下水は遠く離れた山地に降った雨が何年もかけてゆっくりと地下を流れてきたものです。上部は難透水層で覆われ地層に勾配があるため、この帯水層の地下水には水圧がかかっており、井戸を掘削する(難透水層に穴を開ける)と水位は帯水層の深度より上部になります。被圧が大きくなると、地下水位が地表面よりも高くなり湧水となります。
    これに対して、不圧地下水は不透水層が上部にない地下水であり、これを取水する井戸は浅井戸と呼ばれています。不圧地下水は自由地下水面と呼ばれる地下水位が存在し、揚水していない状態では地下水位と井戸の水位はほぼ一致します。降雨などにより水位は上下し、夏になると井戸が涸れた、という現象がみられることもあります。不圧地下水の地下水位の位置は帯水層の中のある深度に存在することになりますが、帯水層全てが地下水で満たされている(飽和されている)とは限らず、ある期間における地下水位の変動幅が帯水層の幅にイコールであるとも限りません。帯水層が存在しても地下水位がない(地下水が無い)場合もあります。
    ちなみに、不圧地下水は地上から直接汚染物質が浸透する可能性があり、有害物質による汚染を受けやすい地下水です。

地下水を汲みあげても汲みあげても無くならないのはなぜですか?

    雨や雪は地中に浸み込み、帯水層に溜まります。この帯水層は主に砂れき層(砂やれき(小石)で構成されている地層)で、その厚さは地域により様々ですが、数メートルから平野部では100メートル以上になる地域もあります。また、河川は川幅が広くても1キロメートル程度ですが、帯水層の幅は、平野では地域によっては何十キロメートルの幅もあります。以上のように、地下水の水量は莫大であり、通常の利用では枯渇することがないことがお分かりいただけたと思います。
    日本では、梅雨時から夏季に降雨が少なくダム湖の貯水量が減少して、これを水源とする水道施設では給水制限が行われることがあります。しかし、地下水を水源とする水道施設では記録的な少雨になっても地下水の量はほとんど低下せず、給水制限が行われることはありません。日本では、地下水を水源にしている水道施設は多く、日本では4人に1人が地下水を飲料水などの生活用水に利用しています。県庁所在地では、人口70万人の熊本市、40万人の岐阜市ではすべて地下水が上水道の水源になっています。
    しかし近年では、地下水を涵養する役割を果たす水田が減反政策のため水を貯めなくなり、また地表面がアスファルト舗装されて雨が地中にしみこまず川に直接流出する割合が増えてきているため、長期的にみると地下水の涵養量は減少しています。地域によっては、湧水が出なくなったり井戸が枯れたりする現象はみられます。一方、日本人の食糧の生産基地の一つである北アメリカでは、地下水を利用して食糧生産が行われていますが、揚水される地下水は1,000年以上も前に地下にしみこんだ降水であり、過剰揚水が指摘されています。近い将来、アメリカの地下水の枯渇が我々日本人の食卓にも影響が出ることも懸念されています。

「年間地下水流出量」とはどういう意味ですか? また「量」とあるのに、なぜ単位はmmなのですか?


日本最大の地下水系を教えてください。

    「日本最大の地下水系」は極めて難しい質問であり、明確な回答をするだけの資料、情報量が国内にはありません。一般に、地下水が豊富にある地域は扇状地と呼ばれる地形が発達した地域です。扇状地は、大きな河川が山地から平野への出口付近にできる粗い礫や砂で形成された扇形に拡がった地形で、全国どこにでもみられます。大きな扇状地は大量の地下水を蓄えており、富山の黒部川、静岡の富士川、熊本の白川などの扇状地が特に有名で、多量に揚水され利用されています。また、扇状地に続く沖積平野も地下水が豊富で、濃尾平野、筑紫平野などでも地下水が豊富です。
    以下に示す、国の機関から全国の地下水に関する情報が発信されており、地域別の地下水利用状況の概要を知ることができるのでご参考ください。

    国交省水資源部:毎年「日本の水資源」が出版(Webサイトに全文掲載)、全国の水資源の利用状況が地域別に分かります。
    環境省:「全国地盤環境情報ディレクトリ」(Webサイトで公表)、地下水の揚水による地盤沈下に関する情報提供がメインですが、地下水の利用、取水状況を知ることができます。
    経産省経済産業政策局:「地下水対策の概況(H21年版)」(Webサイトから全文入手可)


地下水は一般的に等高線に直交するように流れるのですか?

    一般に自然状態においては、浅い深度に存在する地下水の流れる方向は地表面の傾きと調和的であることが多く見られます。従って、地下水の流れを調べるための井戸の情報などが無い場合には、地表面の傾きから概ねの流れ方向を推定することができます。
    ただし、地下水の流れは地質構造に加え、付近の地下水利用実態、地下水の涵養機構、周辺の河川など様々な要素の影響を受けます。このため、地下水の流れをより正しく評価するためには、これら諸要素を勘案した判断が必要です。


地表面から浸透した水(降水など)は蒸発によって失われますが、地中の浅い深度に灌漑した水は必ず地下水へ辿りつきますか?

    以下は1つの考え方としてご参考にしてください。
    地表面から地中へ入り、地下水面にまで達する水(=土壌水)は、鉛直上方に動くポテンシャルをもつものと、鉛直下方に動くポテンシャルをもつものに区分できます。この境界をゼロフラックス面と呼びます。ゼロフラックス面は土壌の水分状態や温度、地表面の日射や風速等の環境条件によって位置(深度)が変化します。例えば降雨時はゼロフラックス面は地表にあり、時間が経過するにつれて徐々に深い深度へ移動していきます。(ゼロフラックス面が2つある場合もありますが、ここでは説明を省略します)
    ゼロフラックス面より深い土壌水は蒸発することがありません。つまり地表(地中)から灌漑した水がゼロフラックス面よりも深い深度に移動すれば、必ず地下水 へ辿りつくことになります。
    なお一般的に土粒子が細かい土壌ではゼロフラックス面が深く、砂などの土壌では浅い傾向にあります。砂では通常、深度20〜30cmより浅い部分に位置すると思います。粘土質の土壌では深度1mよりも深いケースがあります。砂の様なゼロフラックス面が浅い場合の方が、降水が地下水へ到達する確率が高いと言えるのではないでしょうか。一方で、灌漑深度から毛管力などによりゼロフラックス面よりも鉛直上方に移動する水が存在した場合は、その水は常に蒸発するポテンシャルを持つことになり、地下水へは辿りつきません。せっかく灌漑しても蒸発して失われてしまうのでは意味がありませんので、地中灌漑を行う際は、ゼロフラックス面が位置する深度をきちんと把握することが重要と� �います。ただしゼロフラックス面は常に位置が変化する性質のものですから、管理するのは容易ではありません。


雨が地表から浸透し地下水になって地中を流れ、川や海に出るまでどれくらいの時間がかかるのですか?

    地下水は主に帯水層中の間隙や岩石の割れ目を流れています。その流れる速さは地層や岩石の間隙の大きさや、こう結作用(砂を砂岩に変える作用)の進み具合によって、比較的透水性の大きい地層や岩石の中でさえ、数オ−ダーの違いがあります。
    地下水も河川水と同じように高い所から低い所へ流れます。その速さは、1年間に数メートルから数百メートルであり、地形や砂や石の粒度によって大きく変わります。河川水に比較すると非常に遅いことが分かります。
    地表に降った雨などが地下に浸透し、直下の帯水層に到達する時間は、せいぜい数日から1か月程度ですが、帯水層を流動する速度は遅く、上記のように1キロメートル流れるのに、何年もかかります。つまり、地下水が涵養されてから流出するまでの時間は地下水流域の地層や岩石の性質により異なりますが、数ヶ月〜数百年、さらに地下数百メートル以深に存在する地下水はもっと長い時間かかります。
    一例として紹介しますが、トリチウム(半減期12.3年の水素の同位体)などを使った研究では神奈川県の秦野盆地(更新世の扇状地砂礫層)の地下水は7〜8年、富士山の山麓(約1万年前の溶岩流)の湧水は数年〜十数年かかるとされています。

地下水が何年前の水か(雨として降ってから何年経っているか)を調べる方法を教えて下さい。

    地下水の年齢の一般的な測定方法は、対象とする試料(水)の中に含まれるトリチウムと呼ばれる放射性物質の濃度を測定します。トリチウムは、宇宙線の働きによって大気中で生成する天燃の放射性物質です。生成したトリチウムは大気中で雨や雪に溶け込み、降水として地上の降り、さらに地下に浸透して地下水になります。トリチウムの半減期は約13年で、半分が放射能をもたない物質に変化します。言い換えると、雨が地上に降って、地下に浸透してから、13年後にはトリチウム濃度が半分になります。26年後には4分の1になります。このように、地下水のトリチウム濃度を測定して、現在の雨のトリチウム濃度と比較することにより、地下水の年齢を知ることができます。
    ただ残念なことに、この数10年、100年前から現在まで雨� ��トリチウム濃度は、過去の原爆実験の影響で一定でありません。このことが、正確な年齢を出すことを困難にしています。従って、現実には30年前、40年前といったはっきりとした年齢を出すことはできません。結果は「50年より前の古い水」のような表現になります。
    測定は水に含まれるトリチウムのもつ微弱な放射能であり、測定機関も限られてしまいます。財団法人放射線計測協会(茨城県東海村)などにお問い合わせ下さい。


地下水に「新しい水」「古い水」といった分類はあるのですか?


エジプトでは、いくつかの重要な休日は何ですか?

    学問の進化やテキストによって定義に違いがありますが、2011年時点での専門書の一例として、地下水年代が50年もしくは60年までが「新しい地下水」、60年から50,000年までが「古い地下水」、5万年から10万年までが「大変古い地下水」と分類されています。
    参考文献:Kazami他著 Groundwater age,Wiley


地下水の塩水化問題によって塩分濃度が上昇し、最終的には海水程の濃度になってしまうことはあり得るのですか?

    沿岸域では、内陸部と同様、一般に地下水は淡水です。しかし海岸線に近づくにつれて塩分を多く含むようになります。それは海岸付近の地下では、海水が(拡散や潮汐の影響などによって)陸側の淡水地下水と混合しているためです。
    さて、沿岸域に存在する井戸から揚水を行うと、揚水している井戸に向かって周囲の地下水が流れ込んできます。そのため長時間揚水すると海水が混ざった地下水も引き込むようになり、それが井戸に到達すると地下水の塩水化が顕在化します。極端なケース(例えば井戸が海岸線のごく近傍にあり、そこから大量の揚水を長時間に亘り行なった場合)などは、引き込む地下水のほとんどが塩水(海水)になってしまう場合もあるでしょう。
    地下水が汽水化していた地域は、かつては島嶼や沿岸域の工業地帯など日本全国に存在していましたが、現在は揚水規制により沈静化しつつあります。
    参考として、淡水レンズ(ガイベン−ヘルツベルグのレンズ)、塩水くさび、海水浸入、 (揚水の)影響半径、等の用語を調べて頂くと、よりイメージがはっきりすると思います。

井戸水は夏は冷たく、冬は温かいのはなぜですか?

    地表付近の土壌の温度は、太陽が照りつける昼と、太陽が沈んだ夜間では大きな変化があります。同じように気温の高い夏と低い冬でも地温に大きな差があります。しかし、地中深くなるにつれて地中温度の一日の変化(昼と夜)、季節変化(夏と冬)はだんだんと小さくなります。一般的に50cmの深さで一日の変化が、10mで一年の変化がほとんどなくなると言われています。年間の温度変化がなくなる地下10mの地温は、その土地の年間平均気温と同じか、1〜2℃高い温度に保たれます。地下水は地上に降った雨や雪が長い年月を経て地下深くの帯水層と呼ばれている小石や砂の間に貯まります。地下10m以下の帯水層に貯まった地下水は、夏に降った雨がしみ込んでも、冬の雪が溶けてしみ込んでも、同じ水温になります。これを井戸水とし てポンプでくみ上げるため、井戸水は夏でも冬でもほぼ同じ水温になり、夏冷たく冬暖かく感じます。
    日本では、地域により異なりますが、関東平野、濃尾平野、大阪平野では水温16〜18℃、年間の温度差は1℃以内であることが一般的です。もちろん、深さが数mの浅い井戸では、年間の温度差の影響を受け、逆に100mを越える深い井戸では、地温の上昇により、年間の水温差はありませんが、段々と高くなります。深くなると地温(水温)が高くなるのは地球内部のマグマの影響で、地域により異なりますが、100mにつき約3度上昇します。このため、1,000mの井戸を掘ると地表の気温より30℃高くなり、水温は45℃になります。火山地帯ではない平野部に温泉が掘削され日本各地で利用されていますが、これらは1,000m以上掘削して超深層地下水を利用した温泉です。

地下水の熱利用を考えているのですが、参考となる資料などはありますか?

    地中熱の利用に関する様々な情報はNPO法人「地中熱利用促進協会」から発信されておりホームページから入手できます。また、環境省は地下水等を利用したヒートアイランド対策技術の実施による地下水や地盤環境への影響の評価手法、あるいは環境への悪影響を及ぼさない実施条件を確立することを目的とした研究を行っています。これらの資料は入手可能と思われますので、上記NPO法人の事務局にお問い合わせください。

地下水を冷媒として使い、その地下水を井戸に戻す場合、関連する法令等どのようなものがありますか?

    揚水は国の2法律(工業用水法、ビル用水法)があり、また多くの自治体では条例で地下水の揚水規制をしています。しかし、還元井戸の設置、注水に関する法規制は現在のところありません(2009年4月時点)。詳細は地元自治体で確認をして下さい。雨水の地下還元については衛生的な面から、紫外線照射による殺菌をしてから帯水層に戻す試みが行われたことはありますが、クローズドシステムの空調利用には水質の面では問題はないと思います。還元井戸の「帯水層に揚水した井戸水を戻す。」という本来の機能が十分発揮できるか、事前に技術的な検討を行う必要があります。帯水層に水が戻らない事態に備えて、排水路を整備することを勧めている事例もあります。ヒートアイランド対策の一環として環境省(水・大気環境局 地下水・地盤環境室)は、地下水・地盤環境への影響調査を2006年度から2010年度にかけて実施しています(詳細は環境省のHPにて)。地下水や地中熱を利用した空調設備は、省エネとCO2排出量の抑制、冷房時に熱を外気に放出しないため環境にやさしいシステムです。効率的なシステムの開発普及を目的にNPO法人「地中熱利用促進協会」が活動しており、HPを通して技術的な情報を得ることができます。


地下水位の季節変動(短期)、経年変化(長期)はどの程度のものですか?

    地下水位の季節変動、経年変化は地域性が極めて大きく、対象とする地域の既存の観測データを入手するしか方法はないと思います。場合によってはモニタリング井戸を設置して観測を行う方法も考えられますが、時間と経費の点で困難です。ただ、一般的には不圧地下水は降水量の影響を受けやすく、被圧地下水は受けにくいと言われています。このため、水位等の観測データの入手とあわせて、掘削ボーリング資料も収集して地下水の賦存状況など地下環境を調べることも重要です。


地下水の深度と水温との間に相関関係のようなものはありますか?

    地下水温は、一般にその場所の地温とほぼ等しいと言われています。地温は地面下50cmで日変化が、10mで年変化がほぼなくなり、日本では地面下10m〜15mに恒温層があります。恒温層の地温はその地域の年平均気温より1〜3℃高いのが一般的です。恒温層以深では、地中増温率(地域により異なるが一般には100mにつき3〜5℃)に従い地温が上昇し、地下水温もこれに比例して上昇します。増温率が高い地域である神戸、大阪、奈良盆地では5℃を超えるという調査結果も報告されています。地中温度の上昇は地球内部の熱(マグマなど)の影響を受けるためで、各地でみられる平野部の温泉施設の泉源井は、これを利用して1,000m以上掘削してあるのが一般的です。


地下水流速の季節変動(短期)、経年変化(長期)はどの程度のものですか? 何らかの特別な要因で大きな変動が起きてしまう事があれば、その要因と程度を教えてください。

    地下水の流速は地域性が大きく、対象地域の既存のデータから流動方向、流速を明らかにする必要があります。流動方向、流速は一般には対象地域の水位観測データ(静水位)と透水係数から算出します。大きな変動が起こる要因としては、大口径の下水管の埋設や河川改修による流路の遮断、工場新設等による大口揚水、が考えられます。


地下水の水質が変化する場合、どのような外的要因が考えられますか?

    毎日揚水している地下水が何十年も水質変化しない場合や、それとは対照的に、経年的、季節的な変化を受け続ける地下水もあり、一概に井戸水の経時的な水質変化についてはお答えは出来ません。
    一般に、地下水が豊富な地域では水質の経年変化は起こりにくく、乏しい地域では、様々な要因で水質変化が起きる可能性が大きいと言えます。浅井戸の場合、深井戸と比較すると、降水量の変化が井戸水位を変動させ、その結果、水質が変化する可能性があります。また、周辺の土地利用状況、地下水利用状況の変化により、地下水のかん養量や流動方向が変化して水質が変化することがあります。
    なお、浅井戸の地下水は一般に遊離二酸化炭素(遊離炭酸ともいう)濃度が高く、このためpHが低い傾向にあるため、金属製の管壁� �から金属類を溶出させる浸食性が強い性質をもっています。地下水本来の水質変化ではありませんが、揚水機器を長期間使用していると、機材から金属類を溶出させ、鉄サビが出たり、温水器の管壁から銅を溶出させます。この結果、配管や、ポンプ、温水器など機器の寿命を短くします。


地下水位、地下水流速、揚水量等の地下水に関する情報を公開している官公庁、民間機関、ホームページ等はありますか?

    対象地域の市町村の市役所、役場に尋ねるしかないと思います。地下水を工業用水や水道水源として利用している市町村(場合によっては複数の自治体が集まって)が地下水対策協議会を結成して保全に取り組んでいる地区も沢山あります。このような自治体では、継続して水位観測、揚水量のモニタリングを実施しています。最近は情報公開により、ホームページなどにアップしているケースも多いと思いますが、専門的な情報のため、通常は広報誌等で目にすることはないと思います。流速、流向の観測データはほとんどないと思います。なお、大学等の研究者をお知りになりたければ、自治体にお尋ねになるのがよいと思います。上記の対策協議会などに学識経験者がメンバーに入っていることがあります。


地下水を使用している工場等に設置されている流量計の交換や更新の時期は、地下水法で決められているのですか?

    井戸所有者(使用者)が流量計(法律では積算体積計と呼びます)を設置する義務は法的にはありません。但し、地盤沈下の恐れのある地域(2010年10月時点、17地域)では工業用水法に基づき、新たに井戸を設置して揚水を行う場合、ストレーナ位置及びポンプの吐出断面積を届け出て知事の利用許可を得る必要があります。しかし流量計の設置は対象外です。これらの地域では、独自の要項、申し合わせ等により、流量計の設置が行われているかも知れませんが、地下水学会としては情報を把握しておりません。(2010年10月時点)
    地下水利用の多い地域では、地下水資源の保護の観点から、自治体が、工業用水を1日数千トン以上揚水しているような大口利用者に設置をお願いしています。しかし、設置率は低く、揚水量はポンプ電力 使用量などから推測しているのが現状です。
    水道メーターのような流量計(積算体積計)は「計量法」という法律に基づき検定の有効期間が8年と決められており、8年ごとの検定が必要になります。(2010年10月時点)
    なお、地下水法という法律はありません。上述したように特定の地域を対象にした工業用水法があります。(2010年10月時点)


地下水の取水を規制する、又は制限する法律等はありますか?

    国内には
    @「工業用水法」(1956年6月11日法律第146号)
    A「建築物用地下水の採取の規制に関する法律」(通称:ビル用水法、1962年5月1日法律第100号)
    の2つがあります。
    @では、工業用水として地下水の利用が多い地域を政令で指定して(2003年4月現在、全国17地域)、指定地域内において地下水を採取し、これを工業用水として利用する場合、都道府県知事の許可を受けなければならないこと等が規定されています。違反者には罰則も設けられ、地盤沈下の防止等が計られています。
    Aでは、地下水の揚水により地盤沈下が発生して被害が予測される地域を政令で指定して(2011年6月時点、4都府県の4地域)、一定規模以上の建築物用井戸について基準を定めて揚水を許可制にしています。
    また法律ではありませんが、上記 の法律を補完する目的で、関係閣僚会議決定を受けて、1985年4月26日に濃尾平野及び筑後・佐賀平野、1991年11月29日に関東平野北部を対象に「地盤沈下防止等対策要綱」が策定されています。これらの3地域では要綱に基づき、地下水の過剰採取の規制等により、地下水を保全するとともに、地盤沈下による湛水被害の防止及び被害の復旧等、地域の実情に応じた総合的な対策をとることが策定されています。
    また、都道府県レベル、市町村レベルで地下水の保全に関する数多くの条例、要綱等が定められています。環境省の集計(2010年3月)では、26都道府県、251市町村を数えます。内容は地下水の採取に関することだけではなく、汚染防止等の対策も含めて、地域の実状にあった様々な内容が盛り込まれています。各条例等の詳細は、自 治体のホームページ等を参考にして下さい。


地下水が減ってきているとは本当なのですか? その原因は何ですか?

    日本国内の平均降水量に大きな変化はないものの、都市部では市街地化によるアスファルト舗装や排水路の整備等により、農村部では減反政策による水田のかんがい面積の減少により、地下水のかん養源となる雨や雪の地下浸透量が大きく減少しています。このため、生活用水、工業用水、農業用水などの地下水の使用量(揚水量)が大きく変化しなくても、浸透量の低下が賦存量(地下に貯まっている地下水の量)の減少を招き、その結果、一部の地域では、わき水が出なくなったり、湧出量の減少、井戸の水位の低下傾向が認められます。
    また、森林資源の減少による山地の保水力の低下によるかん養量の減少も大きな問題になっています。
    一方、首都圏や阪神地域などでは、ビル管理(空調)などに使用する地下水の揚水量� �減少して、逆に地下水位の上昇による建物や地下構造物の浮き上がり現象がみられ、対策に多大な費用が当てられています。地下水は、河川水とは異なり天候に左右されにくい特性をもつ貴重な水資源です。地下水を貴重な水資源として利用していくには、長期的な展望に立った施策が必要です。
    世界的にみると、地下水の資源としての重要性は地球温暖化問題とも絡んでさらに増します。地下水に関する様々なトピックを集めた図書 (講談社:ブルーバックス「地下水の科学」、日本地下水学会・井田徹冶共著) に詳しく紹介されていますので、ご興味があればご一読下さい。

浅井戸(掘抜き井戸)の地下水は大雨の時に濁りやすいのですか?

    浅井戸、場合によっては深井戸も降雨時に井戸水が濁ることがありますが、希な現象と思われます。
    井戸を作る際、地面に開けたボーリング孔を井戸として完成させるために、掘削孔が崩れないようにするため、ケーシングと呼ばれる金属管あるいは塩ビ管等を挿入します。地層が崩れて井戸として使えなくなってしまうことを防ぐ目的です。掘削孔とケーシングの間には、どうしても隙間ができるため、この隙間に地上から深部まで砂利等を充填します。しかし、このすき間に充填する砂利が地表までつながってしまうと、地表から雨水等が浸透してしまい、ケーシングに空いたストレーナと呼ばれる地下水を取り込む孔から井戸内部に入り込んでしまいます。これを防止するため、地表面近くの掘削孔とケーシングの間の隙間には� �水を通さないセメントあるいは凝固剤といった物質で必ず"水止め"を行い隙間を塞ぎます。この水止め(遮水)が十分機能していない場合や、壊れたりすると、井戸の設置場所よっては雨水等が井戸内部に入り込んでしまい水が濁ることがあります。
    井戸の構造、掘削技術の概要については社団法人地盤工学会(発売元・丸善)から発刊されている「地下水を知る」(2008年)などが参考になります。


新設の井戸から地下水を出し続けると、一目で判るレベルで濁っています。施工業者に数時間洗浄してもらいましたが、濁りがとれません。どうすれば良いでしょうか?

    濁りに褐色を帯びていれば原因は水に溶けている鉄分、白い濁りであれば微細な粘土質によると考えられます。
    鉄分の場合、取水をあきらめるか、飲用等には水道水を使用して、井戸水は散水などの雑用水に使用するしかありません。
    粘土質による場合は、井戸の管(ケーシング)の集水箇所(スクリーン)から、スクリーンの周りの濁りの元になる粘土や微砂を水と一緒に引き込んでいる可能性が大きいと考えられます。スクリーンの周辺が、濁りを生じない砂や礫だけになれば、濁りも収まります。しかし、濁りが一時的なのか、何年もの長い期間継続するのかを判断することは残念ながら困難です。
    また、施工上の問題で、井戸の水止めが不十分であると、降雨時などに地表付近から、管壁(ケーシングの外側)を伝って� ��った水が流れ込み、井戸水が濁ることもまれにあります。これは降雨との関係で判断ができます。



ターナー滝、マサチューセッツ州のサードストリート

汚染物質にはどの様なものがあるのですか?

    汚染物質には様々なものがあります。トリクロロエチレンなどの揮発性有機溶媒、ガソリンなどの油、砒素などの物質も汚染物質の一つです。また近年ではダイオキシン類、PCBなどによる汚染も懸念されています。


昔聞いたことのあるイタイイタイ病、水俣病などの汚染とはどう違うのですか?

    イタイイタイ病、水俣病はカドミウム、水銀などの重金属によって主に水田や閉鎖系水域の表流水が汚染したものです。地下水汚染はこれらに比べると人体への直接接触のリスク(危険)が小さく、汚染の広がる速さも遅いため、地下水を飲用・利用しない限り人体への大きな問題はありません。しかし地下水も資源の一つですから、汚染を放置しておくのは良いことではありません。後世のために環境保全という意味から、きれいな地下水を皆で守ってゆきましょう。


汚染の浄化にはどれ位の期間がかかるのですか?

    汚染の状態(範囲や濃度)によって汚染が浄化されるまでの期間は異なります。過去の例では数ヶ月の短いものから20年以上経っても浄化が完了しない例もあります。地下水は流れが遅いので、それだけ浄化をするのにも時間がかかります。


地下水が飲み水に使われていなければ、地下水汚染の対策は不要ですか?

    地下水は身近な大切な資源です。その価値を保つため、現在、飲み水として使われていないとしても、できる限りの対策を行うことが望ましいと言えます。


汚染された地下水を飲むと病気になるのでしょうか?

    きわめて高い濃度で汚染された地下水を飲まない限り、直ちに健康影響が生じることはありません。しかし、濃度が低くても汚染された地下水を長い期間飲み続けると、健康影響が生じるおそれがあるため、地下水汚染が判明したら、なるべく早急に対応をとった方が良いでしょう。


地下水飲んだらピロリ菌に感染するんですか?

    40歳以上の日本人は約75%の人がピロリ菌に感染しており(出典:ピロリ菌ドットねっと)、感染源は、家族内での幼少期に母親から子供への感染が主体と言われています。地下水からピロリ菌に感染するという情報は、地下水学会としては持ち合わせていません。ピロリ菌については、専門の学術団体である日本ヘリコバクター学会、あるいは日本消化器病学会にお問いする方が良いと思います。
    なお、全国各地に名水と称する湧水、あるいは井戸水がたくさんありますが、水系感染症を引き起こす原因物質である大腸菌、一般細菌が含まれている可能性があります。いわゆる、「美味しい水」、「健康によい水」と噂される水と衛生的な水質とは直接関係がありません。もちろん地元の自治体なども水質検査は行っていないことが普通です。環境省が制定した「日本の名水」のいくつかに大腸菌が含まれていることは衆知のことです。

井戸をしばらく使用しないと、井戸水に大腸菌等が発生する等で水質が悪化するのですか?

    日常使用せずに水が置き換わらなかった井戸水では、水垢などが発生しやすくなります。それが原因で、水道法の水質基準にある「一般細菌」及び「大腸菌」の2項目の検査結果が陽性を示す可能性が高くなります。また、細菌以外のサビ等による濁り、着色等で飲用に適さない水質になる可能性もあります。従って、しばらく使用しなかった井戸水を使用(飲用)する際は、井戸の深さ・形状にも寄りますが、日を置いて多量の井戸水の揚水を繰り返した後で、水質検査を受けられることをお薦めします。
    なお上述2項目が検出されても、直ちに水系疾患の原因菌が含まれていることにはなりません。正しくは「含まれている可能性がある」といえます。


水質検査で鉄・マンガン・フッ素の基準値がありますが、基準値を超えると飲めないのですか? また、飲んだときの体に対する影響を教えてください。

    水道法に基づく水質基準は51項目定められています(2008年9月時点)。この水質基準は水道施設から供給される水道水に適用される基準ですが、自家用の飲用井戸の飲用適否についても当てはめることができます。51項目のうち、31項目が「健康関連項目」、残りの20項目が「生活上支障関連項目」とされています。健康関連項目でも、シアン化合物のような急性毒性物質から、トリクロロエチレンのような疫学的見地から決められた項目もあります。疫学的見地とは、一人の人が70年間毎日2リットル飲み続けたと仮定した場合、飲まなかった人に比べて統計的に病気(たとえばガン)にかかる可能性が大きい(死亡率に差が認められる)、という動物実験の結果に基づいて導かれた医学的な見地です。多くの健康項目が疫学的見地から、� �目、基準値が決められています。鉄、マンガンはいずれも 生命を維持する上で必須元素です。ヒトの毎日の最低必要量は、年齢、体重によりますが、鉄が7〜48mg、マンガンは4mgといわれています。この量は、毎日ほとんどを食品から摂取しています。とても飲料水だけでは摂取できません。水道水の鉄、マンガンは、健康面ではなく、飲み水に色がつく、味が悪くなるという「生活上支障関連項目」として基準値が決められています。色がついたり、味の悪い水を、健康に害はないといわれても飲む気にはなれません。一方、フッ素は「健康関連項目」として基準値が決められています。フッ素を高濃度含む水の飲用を何年も続けると、班状歯という歯のホウロウ質が侵される慢性病になります。かつては日本でも花崗岩地帯の風土病と� ��て各地でみられました。短期間飲んですぐに影響が表れるわけではありませんが、飲料水として継続して利用することは避けるべきだと思います。


揚水した地下水のサビ汚れを防止する方法はないですか? 例えば、配管を塩ビに変更することで防げるのですか?

    鉄分は、
    @元々地下水(井戸水)に含まれている
    A地下水には含まれていないが接触する配管から溶け出す
    という2つの原因が考えられます。ただ、一般的には、鉄分は元々地下水に含まれているケースが多いと考えられます。言い換えれば、鉄分を含む水質が悪い地下水(井戸水)であり、この場合は配管を塩ビ管などに交換しても効果はありません。揚水した地下水(井戸水)から鉄分を取り除くには、水処理装置を設置する必要があり、またメンテナンスにも費用がかかるため、飲用目的ならともかく現実的な方法ではありません。
    一方、Aの場合のように、地下水に鉄分が含まれていなくても、地下水の遊離二酸化炭素(いわゆる炭酸成分)の濃度が高い場合は、鉄製の配管から鉄分を溶かし出し、赤水になることがあ� �ます。この場合は、揚水管を含めて配管を塩ビ製等に取り替えると改善効果は期待できます。しかし、揚水後に地上の構築物等のさびの発生の原因になることも考えられます。
    また、@Aが複合的に起こっている場合もあり、赤水の原因を突き止めることは、水質分析を繰り返し行っても、残念ながら難しいと思います。


地下水を汲みあげて使用していますが、サビで茶色くなってしまいます。このサビの原因が、地下水なのか、それともパイプ等の設備なのか、を判断する方法はありますか?

    どちらの可能性が大きいかを判断するには、井戸水の鉄濃度、遊離二酸化炭素濃度を測定すれば判断が付くと思います。
    揚水直後の井戸水が肉眼でほとんど無色透明であっても、可溶性の鉄(無色です)が含まれていれば、揚水後に空気酸化を受けたり、配管内の鉄バクテリアによって不溶性の鉄化合物が生成して、水は褐色を呈するようになります。サビは鉄の複雑な化合物ですが、鉄化合物は2価の状態では、無色で水に溶けますが、3価の状態では、褐色で水に溶けないため濁りが生じ、いわゆるサビの状態になります。第一鉄、第二鉄という言葉は、現在は使用されませんが、それぞれ、2価、3価に相当します。また、井戸水に鉄が含まれていなくても遊離二酸化炭素を多量に含む場合には、パイプから鉄分が溶出する可能� �は考えられます。
    どちらの可能性が大きいかを判断するには、井戸水の鉄濃度、遊離二酸化炭素濃度を測定すれば判断が付くと思います。井戸水の水質検査は、ポンプを稼働した状態で井戸直近で採水する必要があります。遊離二酸化炭素濃度の測定は、技術的には難しくありませんが、ガス成分であるため現場で測定する必要があります。鉄濃度と着色の関係は、水道法の水質基準値0.3mg/Lが一つの判断基準になると思います。詳細は、水道維持管理指針(2006年、日本水道協会)などを参考にするとよいと思います。
    (2011年1月時点)


井戸水に含まれる鉄やマンガンを除去する「カナケ抜き」という方法について教えて下さい。

    江戸時代から、いわゆる「カナケ抜き」の方法として、シュロ(棕櫚)の幹の皮を用いる方法が生活の知恵として知られていました。シュロは民家の敷地に植えられていることもあり、広く利用されていたようです。樽等に詰めた繊維状のシュロの皮の表面に鉄バクテリアが繁殖して、鉄が吸着します。これと細砂を濾材として組み合わせて鉄を除きます。但し、マンガンの除去はこの方法では、不溶化が困難なため出来ません。現在でも、井戸水(地下水)を水道水や工業用水の原水として利用している場合、鉄、マンガンの含有量によっては、除鉄、除マンガン処理が行われています。水道水の味の向上とともに給水管の内壁への付着防止にもなります。次亜塩素酸等を揚水した原水に添加する前塩処理によって、鉄、マンガンを強制� ��に酸化して不溶性の物質に変化させ、濾過等で除く方法等が一般的です。しかし、鉄、マンガンの溶存状態によって、処理効率が大きく異なるため、処理工程に様々な工夫がされています。
    詳しくは、名著として水道技術者等に広く利用されている、「用水の除鉄・除マンガン処理」(高井雄ら著、産業用水調査会刊)を参考にして下さい。


地下水を溜める水槽(約20L)の中に、白く粘性(トロトロ)ある物質が大量発生しています。水質調査の結果は以前と変わらないのですが、この原因は何ですか?

    実際の現場を見ていないので、発生物質が何であるか、また発生原因が何であるか、はっきりとお答えできません。しかし以下のことが可能性として考えられます。
    物質は真菌の仲間である、カビや酵母、原因としては貯水槽の隙間を通して、空気中から菌が付着したチリなどの浮遊物質が入り込んだことが考えられます。原因物質をはっきりさせるには、顕微鏡による観察が必須です。建物の給排水のメンテナンスの専門家である管理業者などに相談されると良いでしょう。また飲料水のトラブルとして保健所にご相談されることもできると思います。


還元性粘土層から浸み出す地下水の表面に油の様なものが浮いている場合があります。これは一体何ですか?

    油膜状の物質は繁殖した鉄バクテリアです。還元状態の湧水に含まれている鉄は、可溶性のため湧水は無色透明ですが、地上に湧出して空気に触れると、鉄バクテリアによって酸化されて褐色の不溶性の鉄(繁殖した鉄バクテリア)に変化します。鉄バクテリアは、土壌細菌の一種で、環境中ではどこにでも存在している細菌です。繁殖した鉄バクテリアは、水の動きがほとんどない溜まり水状態では、水面に油のような膜を張った状態になることがあり、「ギラ」、「キラ」と呼ばれることもあります。もちろん、油ではありませんので油臭はしません。人畜無害な物質ですが、外観上はよくありません。


汚染された地下水は自然にきれいになりますか?

    自然には、希釈や吸着、分解などにより地下水中の汚染物質の濃度を減らす機能があります。このため、汚染物質を出来る限り取り除いた後、自然の力で地下水を浄化する試みも行われています。浄化に必要となる費用は小さいのですが、その代わりに浄化が終了するまで非常に長い時間を必要とする難点があります。


どこに行けば自分の家の井戸水が汚染しているかどうかが分かるのですか?

    近くの保健所に相談すれば、適切な方法で調査してくれます。また民間の調査機関でも相談にのってもらえます。


水質検査では50にも及ぶ検査項目がありますが、最低限どの程度の項目が必要ですか?

    水道水は水道法第4条に基づき、省令により50項目の水質基準値が決められております(平成21年4月施行)。これは「全項目検査」と呼ばれる検査で、水道施設では原則として年1回の頻度で検査が行われています。このほかに、50項目の中から、特に重要な項目や施設を維持管理するために必要な項目を対象に、毎月検査、毎日検査として検査が行われています。水道ではない自家用井戸については、水道水のように水質検査の義務はなく、所有者の自己責任で使用しますが、保健所等では定期的に検査を受けることを勧めています。測定項目は、50項目の中から選択して行うことになりますが、重要な項目として、@大腸菌、A一般細菌、B塩化物イオン、C有機物、D硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素、EpH、F色度、G濁度、H味、I臭い、が該当しま� ��。通常、年1回程度の検査で良いかと思いますが、費用を押さえたいとき、最低限@Aだけでも検査をすることをお勧めします。詳細は保健所等の検査機関にお尋ね下さい。井戸の周辺で土地利用状況に変化があった場合など、井戸水の水質に影響が出る場合があります。このような場合は保健所等に相談されて、検査項目を追加することも場合によっては必要です。


集合住宅などの自家用井戸の水質はどうやって調べるのですか?

    地下水は、夏冷たく冬暖かく感じる生活用水としては貴重なものです。自家用井戸の場合、水道料金がほとんどかからないのが魅力ですが水質の事前チェックが必要となります。水質検査の義務はありませんが、安全面での管理は利用する人の自己責任となります。
    まずは大家さんや管理会社に任意の水質検査を定期的に行っているかどうか、その結果を含めて尋ねてみると良いでしょう。 場合によっては保健所に相談するのも良いと思います。


マンションにて地下水を利用しています。飲用に適してるのか、水質検査が定期的になされてるのか、その証明を見ることは可能ですか?

    マンションに設置された自己水源(井戸)から給水される飲用水の水質検査は、通常の給水規模では、法的な水質検査の義務はありません。但し、保健所では水質検査を定期的に行うことを「強く指導」しています。大家さん(管理組合)へ「記録をみせて下さい」と入居者の立場でお願いすることはできます。もし水質検査が行われていなければ、法的な義務はありませんが、水質検査や保守点検の実施を大家さんにお願いしてみてはどうでしょうか。
    なお、大家さんにお願いして無理な場合、ご心配であれば、ご自宅の流し台等の蛇口から採水して自費で水質検査を受けるしかありません。一度、地域の情報に詳しい保健所の窓口にご相談されてはどうでしょうか。
    ちなみに、自己水源でもショッピングモールや大規模団地等、 一つの水源から何棟にも給水する大規模な施設は「専用水道」として水道法の規制を受けます。水道法では10立米以上の受水槽から建物に給水する設備を「簡易専用水道」と呼び、大家さんが年1回水質検査を行うことが法律で義務づけられています。入居者に対する検査結果の開示義務はありませんが、「見せて下さい」とお願いすることはできると思います。


地下50メートル程度の地下水は安全ですか?


カラカスはどこですか?

    地下水は本来、良好な水質と安定した水温を持つものです。しかし、残念なことに人為的な影響等による地下水の水質汚染が問題となっている地区が多く見られます。地下水の水質汚染は、広範囲なものから局所的なものまで、その規模は様々です。井戸を掘る予定の場所で広範囲な地下水汚染が発生しているおそれがあるかどうかは、市町村等で確認することができると思います。しかし、局所的な地下水汚染は、実際に井戸を掘ってから確認しないとわかりません。また、化学物質等による地下水汚染は発生していなくても、大腸菌の問題やその他の理由で水質が利用目的にふさわしくない場合も考えられます。したがって、井戸掘削や地質調査を専門とする方に事前に調査を依頼されるのが良いかと思います。


地下水の亜硝酸性窒素濃度が急に1/3の値に減少しました。通常の地下水の場合、このような急激な減少はありうるのですか?

    @地下水の溶存成分の変化について
    浅層地下水の溶存成分量の変化については一般的に地下水量との関連があるものと考えられます。地下水位の高い時期というは、地下水の流動量の多い時期であるため、そのことで溶存成分の濃度は薄まるものと考えられます。通常、地下水位は6月頃より上昇し9・10月頃に最高水位に達します。その後,地下水位は低下して4月頃が最低水位となります。したがって、春から初夏にかけては地下水量の少ない時期となりますので、溶存成分濃度は高くなります。また夏以降は地下水量が増えますので、濃度が薄まって低くなることが一般的かと思います。

    A地下水の硝酸性窒素濃度の変化について
    地下水中の硝酸性窒素の濃度変化は、場所によって大きく異なります。長期観測(15年)のデータでは、10→6mg/lまで減少したり、その逆に 1→6mg/lに増加したりするところもあり様々な変化をしています。濃度の高いところでは10mg/l以上も変化している場合もあります。従って「急激な減少はありうる」と考えます。


マンション建設現場で、地下を掘り下げて大量の地下水が流れ出ているため、一日中くみ上げて排水しているようです。周辺に異常が起らないのですか?

    地形・地質、地下水および揚水状況等の現況を全て詳細に把握しない限り、正確な回答は難しいと思います。ここでは類似工事において一般的に問題となる事項についてご回答します。
    まず、建設中の揚水は、建設の進捗に伴い地下構造物ができあがってくれば、地下水のくみ上げを止めるものと思われます。長い年月から考えると一時的なものといえるでしょう。
    しかし一時的とは言え、大規模なマンション建設で地下水を多量にくみ上げることにより、周辺の地下水位が大幅に低下し、マンション建設地周辺で井戸水を利用されている方がおられる場合には、井戸内(民家で使用されている場合は浅井戸が多い)の水位が低下するため、井戸水量が減ったり、極端な場合には「井戸枯れ」と言って井戸水がまったく利用でき� �くなることがあります。これは、地下水流の関係から、マンション建設現場下流に位置する井戸には特に顕著になります。地下水のくみ上げによる影響を受けやすい井戸かどうかについては、マンション建設に伴い地下水をくみ上げている地層と周辺の井戸深さがわかればその因果関係が明確になると思われます。
    近年では環境に対する問題意識が高く、事前に地質や地下水調査等を行った上で、施工時において周辺への影響を可能な限り低減する工法が採用されています。また、調査結果を基に地下水のくみ上げによる周辺環境への影響予測を行い、大きな影響が生じるような場合には対策工を講じて影響を低減しているものと思われます。
    心配されているような兆候が何か周辺地盤や構造物等に少しでも生じている様ならば、� �元自治会(個人でも良いと思いますが、できるだけ自治会を通されるのが良いと思います)などを通して、工事関係者(現場管理者)にご相談すれば誠実に対応して頂けると思います。


大規模な施設で1日1000tの水が使用されています。この使用後の排水が地下水に悪い影響を及ぼすことはありませんか? 誰に相談したらよいでしょうか?

    該当施設の責任者に直接お話しし難い場合は、都道府県や市区町村の環境局(課)や資源局(課)等に関連する部門にご相談されるのが良いと思います。


大量の地下水を汲み上げる施設が建設されようとしており、地域では地下水の枯渇を懸念しています。施設に対し保証を要求していますが、地下水枯渇とは必ずしも因果関係があるとは限らないとして補償に難色を示しています。解決策はありますか?

    施設の建設が決まったら、井戸の掘削が始まる前に、影響の可能性が考えられる周辺井戸の水位観測、水質検査を会社にお願いし、必ず地元自治体の立ち会いの下で検査を行います。揚水開始後も近くに位置する一部の井戸だけでも定期的に調査を継続することも必要です。掘削、揚水開始前、揚水開始後の客観的な記録があれば、将来、井戸水の水位や水質に影響が出た場合、補償等の話し合いもスムーズに行くと思います。
    なお、工場等の施設が進出し大量の井戸水が揚水されることによる周辺民家の井戸涸れ事例は各地にあります。何よりも地元自治体の担当者に相談を持ちかけることが肝要です。


限界揚水量に学術的根拠はあるのでしょうか?

    限界揚水量は、段階揚水試験時の揚水量と水位変化を両対数グラフにプロットした際の屈曲点(急変点)における揚水量のことです。したがって限界揚水量を上回るとわずかな揚水量変化で水位変化が大きくなります。一般的な井戸公式に従えば、透水係数が小さくなることを意味しますが、実際には井戸周辺の流速が大きくなり非ダルシー流れ(層流から乱流へ)になり抵抗が大きくなるという解釈や、流速の増大にともなって帯水層を構成する粒子移動が大きくなり目詰まりが生じ始めているという解釈が一般的です。
    限界揚水量の通常80%程度を適正揚水量としているのは、後者の立場にたって帯水層を破壊せず、泥だまりへの土砂の流入を極力おさえながら、なるべく多量の揚水量を得ようとする経験的な方策といえます。� �たがって、根拠の無い数字とは言えません。


揚水限界量を求める計算式はありますか?

    手持ちのデータと下記資料を照らし合わせ、目的の揚水量を導く適当な計算式から計算されることを提案します。

    参考図書1.(社)地盤工学会編:地盤調査 基本と手引き

      主に第23章 揚水試験と第22章 透水試験

    参考図書2.(社)地盤工学会編 現場技術者のための土と基礎
    シリーズ19「根切り工事と地下水ー調査・設計から施工までー」

小さい径で試掘した井戸(例:直径150mm)で揚水量を確認し、大きい径(例:直径300mm)の本井戸を掘った場合の揚水量を推定する方法をお教えください。

    下記のような適応条件を考慮した検討が必要と考えますので専門の技術書・解説書を理解してご利用されることを望みます。
    @井戸の深さと水文地質状況や帯水層構造
    A帯水層別の地下水の存在状況(不圧地下水か披圧地下水か、地下水位分布)
    B調査された井戸の試験方法・内容・井戸構造
    C今後利用を考えている井戸の深さ・構造・対象となる水文地質状況・利用期間
    D行政の規制条件(揚水量規制・揚水深度規制ほか)
    E周辺の地下水利用状況と帯水層構造(周辺井戸の利用場所・揚水量・深さ・スクリーンの深度)
    F対象とする場所での適正な地下水揚水量の検討
    G数値シミュレーションによる予測評価(Fに含まれる場合も有ります)

    なお静水時および揚水時の井戸内水位や地質の透水性(透水係数)等を把握した上で、あくまで理論上の議論として、水理公式集(昭和46年改訂版)による公式を紹介します。最も単純な場合として、不圧地下水を対象とした揚水井戸が不透水層にまで達している場合を考えると、揚水量は次式により求められます。
    Q={πk(H2−h2)}/{2.3log10(R/r)}
    Q:揚水量(m3/min)、k:地質の透水係数(m/min)、H:不透水層からの水深(m;静水時)、h:不透水層からの水深(m;揚水時)、R:井戸の影響半径(m)、r:井戸の半径(m)

    例題として、井戸の影響半径を500m、Hとhの水位差を2m、透水係数を一定として、井戸径をΦ150mmからΦ300mmへ変えた場合を計算すると、揚水量は1割弱ほど増える結果になります。ただし、これはあくまで理論上の議論ですので、現場の状況により異なる場合があります。


段階揚水試験、連続揚水試験において、「水位が安定する」とはどのような状態を考えればよいですか?

    段階揚水試験と連続揚水試験とで状況が異なります。
    ●段階揚水試験
    水位低下量は時間に依存するため、各段階の揚水時間を一律にすることで、この問題を解決すべきです。すなわち、予備揚水試験の結果、概略の限界揚水量を推定できた場合は、それ以下の揚水量で4〜6段階、それ以上の揚水量で2段階程度を設定します。ここで各段階の揚水時間ですが、1〜2時間程度とするのが一般的です。
    ●連続揚水試験
    水位安定を見極めるのは困難な場合が多いため、以下のパターンになったかどうかで、試験終了の目安とすればよいと考えます。
    @被圧帯水層で上下に信頼できる難透水層がある場合は、試験中に非平衡解析を行い、時間―水頭低下曲線が理論曲線に一致していると判断できたとき。
    A漏水性帯水層では、長時間経過すると理論上水位が一定になる。したがって、この場合も試験途中で漏水解析を行い、理論曲線と一致していると判断できたとき。
    B不圧帯水層では、遅れ重力排水の影響で、ある時間経過すると見かけ上水位がほぼ一定となり、その後、再び水位が低下し始める。その水位低下曲線はタイスの標準曲線に従って変化することから、この曲線に一致していると判断できるとき。

    上記の内容は関東地質調査業協会発行の「現場技術者のための地質調査技術マニュアル」から引用しています。


水道が地下水から供給されているのはどの地域ですか?

    市役所や町役場の水道担当課に電話などで尋ねれば、水源が地下水なのか河川水なのか地域的な情報も含めて教えてもらえます。


地下水の有害物質の環境分析において、SS(1μ以上の浮遊物質)は地下水の成分として含まれるのですか?

    SSは地下水の成分に含まれます。地下水は地中で土壌や砂礫の層によって自然のろ過をうけているため、河川水などと比較して懸濁物質を含むことはほとんどありません。しかし一般に地下水の採取は井戸を通して行うため、採取試料に井戸に起因する懸濁物質(水垢、配管のさびなど)が混入する可能性があります。
    地下水の環境基準に定められた物質は26種類あり(2006年9月時点)、法に基づき定期的に検査が行われています。懸濁物質を含む井戸水(地下水)試料の場合、その測定結果への影響は、懸濁物質の量や種類、測定項目によっては十分考えられます。特に影響が出る可能性が考えられるのは金属イオンの場合です。
    公定法(JIS-K0102)では測定前にろ過の操作はありません。化学の分野では、操作上の定義として0.45� �mのろ紙により、溶存、懸濁を区別していますが、公定法では区別はありません。従って、懸濁物質を含む試料の場合、懸濁物質から溶出してくる金属を合わせて測定することになります。この結果は、地下水の本来の水質ではないことを理解しておく必要がありますが、公定法に基づく測定結果としては正しいということになります。


河川の護岸工事によって、河川から約100m離れた井戸で地下水が出なくなるということはありますか?

    井戸への影響は、河川と井戸の平面的な位置関係だけではなく、地下水の帯水層の深度、地下水の流れの方向が大きく影響します。井戸水が河川水のかん養を受けていれば影響が現れ、水位低下や場合によっては枯渇することも考えられます。井戸が河川の近くにあっても、地下水の流れが河川の流れと並行していたり、地下水が河川へ流出している場合などは、影響はほとんどありません。
    護岸工事は、三面張り工法に代わり、もともとあった自然堤防、土手などをできるだけ活かして(残して)、必要な部分だけ工事を行う工法が最近各地で採用されています。国も、景観だけでなく水辺の動植物など自然環境に配慮した「多自然型川づくり」を推進しており、工事による河川水の周辺井戸への影響も場所によって考慮されると思� �ます。


土木工事で地下水の水質にどのような影響が発生するのですか?

    土木工事により、水みちの遮断による水位の低下、場合によっては井戸枯れが起こることがあります。逆に、水位の上昇がみられることもあり、水みちが変化することによって地下水の量と共に水質に影響が及ぶ場合があります。井戸の深度(スクリーンの位置)によりますが、浅い井戸ほど影響が受けやすく、時には濁りや、鉄が溶解した赤水が発生することもあるかも知れません。水質項目の変化は各現場の地形、水文地質状況に因るため、どう変化するかは一概に言えません。


浅井戸の隣(10〜20m位離れた所)で工事が始まり、水がヘドロ臭くなったり、水の表面に油の様なものが浮き出し、鉄の臭いがひどく、たまに赤い水やサビみたいなものが出るようになりました。工事との因果関係はありますか?

    一般的に、既存の井戸周辺で河川改修工事、上下水道管の埋設、ビル等の建設工事などの土木工事が始まると井戸水が影響を受ける場合があります。これは、地下水の流れが遮断されたり、流動方向が変わるためであり、水位低下や水質変化を引き起こします。但し、井戸への影響の程度は、各現場により大きく異なります。すぐ近くで工事が行われていても影響を受けない場合もあります。また、何ヵ月を経過してから影響が現れることもあります。
    現場では各々の現場で特有の事象がありますので、基本は、工事発注者や施工者に現状を話し、井戸水の水質変化と工事の因果関係について調査をお願いすることと思います。


地下水を(地下35m付近から)汲み上げて使っていますが、便器や風呂などに青い水垢がつきます。これは大丈夫でしょうか?

    地下水を電気ボイラー、ガス沸かし器などで加温して使用した場合、それらの機器で使われている、熱を伝えやすい銅管から銅が溶け出して、青い水垢を発生させることがあります。ただし、地下水を加温して利用しているからと言って、必ず青い水垢ができるとは限りません。水垢の発生は、地下水の水質、特に遊離炭酸の濃度に依存します。遊離炭酸は、水に溶けている炭酸ガス(二酸化炭素とも呼びます)のことで、遊離炭酸が多いと金属を溶かす性質が強くなります。水に溶けた銅は体に害がある成分ではありません。銅釜など銅製の食器があり、例えば、端午の節句に食べる柏餅の葉は銅釜で茹でると葉の色が綺麗になります。


地下水で洗車すると水垢がたくさん付くのはなぜですか?

    地下水は自然のろ過を受けて、河川水を水源とする水道水のように濁りを薬品で除去する必要がない清浄でミネラル成分を多く含む美味しい水です。しかし、ごく一部の井戸水では、粘土質の細かい濁りや、鉄分を含むため、水垢が発生することがあります。濁りは白色の水垢、鉄分は褐色の水垢を生じます。特に鉄分を含む場合は、汲んだばかりの井戸水は無色透明でも、空気に触れたりすると褐色に変化します。このため、水垢として目に付きやすくなり、日常的にお風呂の湯として使用したり、洗車に利用していると浴室や地面が褐色を帯びてきます。鉄分を含む井戸水は味が悪く、また洗濯物に色が付いたりする場合もあります。


鉄やマンガンの成分に変化がないのに色度が1〜2オーダー上昇する原因は何ですか?


    鉄、マンガンを含んだ水は見た目で無色透明であっても、放置しておくと時間の経過と共に空気が溶け込んで褐色を帯びるようになります。これは、還元状態にあった鉄やマンガンが酸化されて不溶性の鉄やマンガンに変化したために起こる現象です。鉄やマンガンの含有量が多い場合には、一晩置いておくと、容器の底に沈澱が生ずることも珍しくありません。水道分野では赤水、黒水という言葉がありますが、赤水は鉄による褐色の濁り、黒水はマンガンによる黒褐色の濁りをいいます。鉄が含まれていると色度だけではなく、味が悪くなります(金気味)。


地下水が何十年たっても腐らないのはどうしてですか?

    地下水が腐らない理由は、地層の働きによるためです。土壌層では、地表面から地中に浸み込んだ雨水の濁りや、腐る原因となる細菌類などの微生物が、ろ過、吸着によって取り除かれます。この働きは、さらに地下深い砂れき層の目の細かい砂によっても行われます。このようにして帯水層に入って地下水となった水は、自然のろ過、吸着作用により細菌などの微生物がほとんど含まれておらず、また微生物の繁殖の栄養となる有機物濃度も極めて低いため、腐らないのです。

水質分析で臭気やその原因の有害物質を測定する方法はありますか?

    臭いの成分、強度の測定は、藻類が原因で発生するカビ臭などを除いて、機器分析ではなく人間の鼻による官能試験により行います。機器の感度より、嗅覚の方が優れているためです。以下、試験方法を簡単に述べます。健康な人(正常な嗅覚を持っている人)最低5人をパネラーにします。測定したい水を40〜50℃に暖めて、その後、フタをして激しく振り混ぜて、フタをとってすぐにパネラーが臭いをかぎます。臭いがするかしないか、するとしたら何の臭いかを紙に書いてもらいます。臭いが強い場合は、臭気強度を求めます。無臭水で希釈して、希釈しても臭いがする限界の倍率を求めます。5倍に希釈して辛うじて臭気があれば、臭気強度は5になります。官能試験である臭気の判定は人の鼻に頼る試験方法であり、個人差が伴い� �す。多くの人に臭いを嗅いでもらって判定することが基本です。水の臭気は飲料水の試験方法として重要です。詳しくは、日本水道協会から出版されています上水試験方法(1991年版)に記載されています。 臭気の原因は、硫黄臭(硫化物)、金気臭(鉄)を除いて、有機物質によることがほとんどです。有機物質は種類が多く、その原因物質を突き止めることは、多くの困難を伴います。


夏(限定)、地下水を汲み上げ始めて一定時間(約30秒前後)異臭があります。この異臭は何故発生するのですか? 異臭時の水質を検査すべきですか?

    一般的に浅井戸は、井戸周辺の地上の汚染物質などの影響を受けやすく、雨とともに地下水に混入する可能性があります。 例えば、家庭の台所、風呂や洗濯、し尿などの排水、工場排水、などです。また浅井戸は季節により水位が大きく変動する場合が多いので、「夏場だけ臭う」ということと水位に関連があるかも知れません。臭気の原因を明らかにするには、井戸の周辺を目で調べて見る必要があります。
    通常の水質検査では、臭気の原因物質を特定することは困難です。臭気に関しては、高額な検査機器よりも人間の鼻の方が高感度です。一般には、検査水をガラス容器に入れて摂氏60度に加温して、暖かいままの状態で、検査者の鼻で臭気の有無を確認します。臭気を感じたらその種類を、カビ臭、金気臭、下水臭などと分類して検査結果として記録します。
    ちなみに採水時にかすかに感じる程度の臭気では、汲み置きして時間が経つと、無臭 になることが一般的です。 「確かに臭いがする」とペットボトルに採水して検査機関に持ち込んでも、検査結果は「異常なし」という結果にほとんどの場合なります。


地下水の硫黄臭が強いのですが使用可能ですか?硫化物を取り除くことはできますか?

    人の嗅覚は強いので硫化物が1リットルに0.3mg程度の低濃度含まれていても「卵の腐ったような」臭いを感じます。水道法(飲料水)の基準項目に硫化物そのものはありませんが、本来、無味無臭のはずの飲料水に異臭味がすることで飲用不適になります。飲用以外でも、お風呂の湯に使用すると、室内に硫黄臭が充満して不快を感じることもあります。硫黄を含む温泉水を利用する場合、浴室の換気について設備の設計基準が温泉法の中に設けられています。また硫化物は腐食性があり、長期間使用することにより、使用器具(ポンプ、配管等)の変色(黒色)がみられるようになります。洗車、庭の水まきなど雑用水以外の使用は止めたほうが良いと思います。
    硫化物は水処理で取り除くことができますが、メンテナンスの費用、労� �等から考えて家庭などで行うことは難しいと思います。


地下水に色々な放射性物質が含まれていると聞きましたが本当ですか?

    元々地下水(井戸水)には大なり小なり放射性物質を含んでいます。地域によって大きな濃度差がありますが、一般的に花崗岩質の岩石が地下にある地域では高濃度に含まれています。これは、花崗岩に含まれるウラン鉱物からラドンと呼ばれる放射能性のガスが地下深くから自然に出ており、地下水に溶け込むためです。日本では、基準以上の強い放射能を含む井戸水を温泉法で放射能泉として認めており、ラドン温泉、ラジウム温泉とも呼ばれています。放射能泉は全国各地に広く分布しており、中には全国に名が知られている有名な温泉もあります。日本の温泉法では放射能は体によいという考えに基づいています。


放射線汚染物質が拡大していく速度はどれ位ですか?

    地中での放射性物質の動きはその物質と土壌粒子の反応の度合いによって大きく変わります。よって、本来ですと放射性物質が漏れている場所の土を採って調べてみないと正確なことはわかりませんが、一般的に次のように考えられます。
    セシウムは土に強く吸着される(くっつく)ので地下水の流れの数十分の1から数千分の1のスピードでしか地中を動きません。地下水の流速そのものが、だいたい、一年に数十cmから数m程度です。セシウムの地中での動きは、地下水の流速よりも、さらに遅くなりますので、地中に漏れたセシウムは長い間大きくは広がることは無いと考えられます。
    一方、ヨウ素は土にくっつかず、一年に数十cmから数m程度流れる地下水と同じ速さで地中を流れます。しかし、ヨウ素の半� ��期(放射性崩壊によって半分に減る時間)は8日と大変短いので、地下水が遠くに到達する前に濃度が低くなり(数か月で無くなる)、これも大きく広がることは無いと考えられます。
    このほかに、ストロンチウムという物質が地中に漏れた場合ですが、これは少し土壌粒子に吸着されるため、地下水の数分の1から数十分の1の速さで地中を動きます。半減期が29年と長いので、これが地下水中に漏れた場合には注意が必要です。それでも地下水より動きが遅くなりますので、一年間 に数cmから数m程度の速さで地中に広がると思われます。
    以上より、放射性物質が地下水中(地中)にある限り、これらが直ちに汚染源から遠くまで広がることは考えにくいです。ただし、放射性物質を含んだ雨がふたの無い井戸などを通して直接地下水に入る場合には遠くでも地下水が放射能に汚染される可能性があります。


原子力発電所の事故で放射線の水質汚染が話題に出ていますが、地層は放射線も濾過してくれるのでしょうか?

    放射性物質の種類により異なります。雨などに溶けていて、土壌に吸着しない物質は地下水に溶け込む可能性があります。但し、放射性物質には半減期と呼ばれる自然に消滅する時間があり、地下水に入る前に放射能が弱くなったり消滅する場合も考えられます。
    なお、河川水にはほとんど放射性物資は含まれていませんが、元々地下水(井戸水)は放射性物質を大なり小なり含んでいます。地域によって大きな濃度差がありますが、一般的に花崗岩質の岩石が地下にある地域では高濃度に含まれています。これは、花崗岩に含まれるウラン鉱物からラドンと呼ばれる放射能性のガスが地下深くから自然に出ており、地下水に溶け込むためです。
    日本では、基準以上の強い放射能を含む井戸水を温泉法で放射能泉として認めており、 ラドン温泉、ラジウム温泉とも呼ばれています。放射能泉は全国各地に広く分布しており、中には全国に名が知られている有名な温泉もあります。日本の温泉法では放射能は体によいという考えに基づいています。このため、放射能泉を人工的につくるために放射性物質を多量に含む岩石が販売されています。


福島原発事故に関連し敷地内で行われた大量の放水は、地下に浸透した後どうなるのですか?

    実際に現地調査をしておりませんので100%確実なことはわかりませんが、原発敷地内地下15mから放射性物質を含む地下水がくみ上げられたことが報道されていることについては、次のように考えられると思います。
    地下水への汚染ルートとしては、
    1)大気中のチリ等に含まれた放射性降下物質が地表面に到達し、水溶性の放射性物質が雨水等の浸透に伴って、地下水位より上部の地盤(不飽和地盤)を降下し、地下水面に達し地下水汚染を引き起こす場合、
    2)放射能汚染水が何らかの経路(たとえば地下構造物の損傷箇所からの漏水経路や構造物の下部に通常存在する砕石層やドレーン層(砕石層)経由の経路)から、大量の汚染水が強制的に地下に供給され地下水を汚染する場合
    の2つのルートが考えられます。
    1)の場合はセシウムの土粒子への吸着とヨウ素の短い半減期(8日)から考えて地下水汚染は起こりにくいと考えられます。
    今回は2)の場合と考えられますが、建屋の真下のごく浅い地下水から放射性部物質が検出されたので、放射性物質を含む水が浅い地下水に到達したことは確かです。これは雨水ではなく、多量の汚染された水が地中に入ったこと、汚染水の入った地表付近から地下水まで、水を通しやすい地層か地中の何らかの構造物を伝って、水が直接的に地下水に到達したと考えられます。今後は、物質の移動や広がりが問題となります。
    現場の地下水のおよその流向は東(海)に向かっているので、汚染された地下水はゆっくりと海へ向かって流れると推定されます。ただ、局所的な地層構造などによって、南方に広がる可能性もあります。したがって、現場付近の浅い地下水は慎重なモニタリングが必要です。それでも一般に帯水層中の地下水の流速は、一日あたり、数cm〜数10cmオーダーと遅いので、すぐに広範囲に影響がでることは考えられません。半減期の長いセシウムでは前述したように土粒子に強く吸着するためにセシウムの動きは地下水流速に比較してさらに遅くなります。ヨウ素は地下水といっしょに移動する可能性が高いのですが、前述したように半減期が短いために広範囲に移動する前に放射性を失ってしまいます。また、大深度地下水へ放射性物質が到� ��することも、直接、ボーリング孔や井戸などを伝わって、上から汚染水や放射性物質が入らない限り、考えにくいです。

役場へ水質検査に出すと、放射線に関しても調べてくれるのですか?

    日本の水道水、飲料水の水質基準を定めている法律「水道法」の水質基準50項目の中には、放射性物質は含まれておりません。このため、通常の水質検査の対象外になっており水質検査機関では機器がないため測定はできません。測定ができるのは放射能を専門に取り扱う特殊な機関だけです。


原子力発電所からの放射能汚染は深井戸へどのような影響を及ぼすのでしょうか?

    地下水の場合、個々の場所によって地質や井戸の仕様など様々な条件が異なるので、汚染状態の確実なことは採水・測定をしないとわかりません。以下、当学会の一般的な見解を示します。雨などと一緒に降ってきた セシウムは土の粒に強く吸着されるので地表近くにとどまり、地表から地下深くへ浸透し地下水に混ざることはほぼ考えられません。ヨウ素は雨水と共に土の中に浸透してゆきますが、大きな穴でも無い限り一気に地下深くへ浸透しないこと、半減期が8日と短いので浸透中に崩壊することから、深井戸の水がヨウ素に汚染される可能性も極めて低いと考えられます。ただしケーシングの無いような浅井戸では、大気から直接放射性物質の落下による混入が考えられますので、放射能の放出が続いている間は飲用を控えられた方が良いと考えます。

放射能に汚染されていない地下水を得るには深度何mから地下水を汲み上げれば良いでしょうか?

    放射能汚染の地下水への影響については、このページでも紹介していますが、実際にご利用の地下水を採水して放射能を測定することが一番確かです。ここでは一般的ですが、次のようなことが言えると思います。
    土の粒子に強く吸着される(くっつく)セシウムに比べて、ヨウ素は雨水と共に土の中に浸透してゆきますが、その速度は、大きな穴でも無い限り一年に数十cmから数mの速度です。半減期(放射性崩壊で量が半分に減る時間)が8日と短いヨウ素は浸透中に崩壊することから、地下水がヨウ素に汚染される可能性も極めて低いと考えられます。例えば地下水位(ストレーナ深度)が深さ10mであれば、汚染されている可能性は低いと思われます。ただし、地下水位が高く地表近まであるような場合や、蓋やカバー等の無い井戸で大気から直接放射性物質の降下・混入が考えられる場合、また近くに地表水が直接地下に入ってしまうような人工構造物(例えば、浸透ます等)がある場合には、放射性物質が地下水に入っている危険があります。< br/> 新設井戸の深度という観点で考えると、確かに深いところにある地下水は浅いところにある地下水より安全です。しかし、岩盤より浅く掘る予定であれば、水は浅い部分と深い部分でつながっていますので、沢山揚水すれば上部の水を深部に引き込むことになり、確実により安全とはいえません。また、掘削工事の際に放射性物質で汚染されている地表近くの土が地下に入り込むようなことがあると、却って地下の地層や地下水を汚染させてしまう可能性があるので、注意深く工事を行う必要があります。

福島第一原発あたりの地下水は遠く離れた九州などの遠隔地とつながっているのですか?

    地下水は、基本的には地形勾配にそって流れます。福島原発は海岸のすぐそば数100mのところに位置しており、周辺の地形は陸側から海側に向かって低くなっています。勾配は、海から離れた地区で7/100程度(水平距離100mで7mの高低差)、海に近いところでは2/100程度です。原発から汚染した水が地下水中に漏れているとすると、汚染した地下水は、海側に流れていると思われます。
    福島第一原発に限らず、東北地方や関東地方の地下水が海を隔てた九州とつながっていることはありません。


建設工事によって隣地の地下水に影響が出た場合、補償する必要があるのでしょうか?

    土木工事により近隣井戸の水質に影響が出る可能性は、工事現場が地下水の流れの上流側に位置している場合となります。工事の影響により水質に変化が出るのは主に濁りで、飲料水の水質基準にある有害物質の濃度が上昇することは稀であると思います。対象の地下水が水質検査を実施していて、工事前後の地下水質が客観的にみて明らかに違う場合は、補償の対象になるのが一般的な考え方です。また、工事現場が下流側であったとしても、地下水の流れが遮断されたり流向が変化して、井戸水位の変化、場合によっては井戸枯れが起こる可能性も考えられます。


地下水シミュレーションを実際に行うとすると、どのような手続きが必要で、どのくらいの経費がかかりますか?

    地下水流動シミュレーションを試行するには、地下水に関わるさまざまな要素(データ)を収集整理する必要があります。それらは、一般的なシミュレーションでも、涵養域の地形、地質(帯水層構造)、帯水層の地下水水理定数、帯水層別の地下水位の分布、地下水利用実態、地域の降水量分布、蒸発散量分布、などのデータと、帯水層構造を反映した数値計算モデル、などが必要となります。データが不足している場合は、新たにデータを構築することも必要になり、時間としても3年以上、費用としても数千万円規模が想定されます。これらの作業(事業)は、市の水道や環境行政が中心となって進めることになりますが、地下水学会では、要請に応じて専門分野の大学の先生や、専門技術者を派遣してご相談にのることが出来る� �思います。



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